15年ほど前に鹿児島市内の山あいで小さな田んぼを耕し始め、田んぼの周りの広いのり面の草刈りの助っ人としてヤギを飼い始めたのをきっかけに、今ではヤギ5頭、アイガモ7羽、ガチョウ 7羽、ニワトリ20羽、コールダック10羽、ウサギ1匹と暮らしている著者。やってきたヤギたちは放牧されながら生い茂った草をのびのびときれいに平らげていき、その除草能力の高さに驚かされたといいます。
ヤギ、アイガモ、ガチョウが、田んぼや畑、庭先、農地まわり、休耕地・放置林などで草刈り・草取りに大活躍!「適材適所」の放牧・放飼で、家畜たちはのびのびと草を食べ、周りの環境や景観を整え、私たちに卵や乳、肉、糞なども恵んでくれます。
この本では、山あいの農地での著者の実践をもとに、家畜の食性・行動特性、放牧・放飼のやり方、繁殖のやり方、日常の世話や健康管理のポイント、卵・乳・肉・糞の利用までわかりやすく解説します。身近に家畜がいる暮らしを、草取り動物とともに始めてみませんか?(本書カバーより)
彼らとの出会いによって、草刈り・草取りによる「田んぼでの小さな畜産(自給的畜産)」の可能性の大きさに気づかされるとともに、近年では各地で荒れてしまっている山あいの田んぼは、「小さな畜産」を実践する上で理想的な場所なのだという実感も新たにしています。(はじめに より)
各ページの随所に動物たちの様子を収めた写真が散りばめられており、和みの要素も大いに得られる実用書です。(開くたびに可愛いなぁと眺めてます)
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目次
第1章 草刈り動物の魅力
1.草刈りでヤギに助けられる
2.ヤギ、アイガモ、ガチョウ… それぞれの持ち味
3.ミャンマーでみた畜産の原点
4.山あいの田んぼこそ「小さな畜産」にふさわしい
第2章 草刈り動物を飼うには?
1.放牧・放飼にも入念な準備
2.家畜の「適材適所」を知る
3.放牧や放飼の場所を考える
4.一年のサイクルを考える
5.冬場のエサ確保は特に重要!
6.飼料作物(牧草)を育てる
7.脱走と野生動物の侵入を防ぐ
8.日常の世話をイメージする
9.設備、道具をそろえる
10.法令、届出事項を確認する
11.獣医師を探しておく
12.家畜を入手する
第3章 ヤギを放牧する
1.はじめに
2.ヤギの種類と特性
3.草刈りへの適性
4.放牧・飼育の方法
5.冬場の飼育とエサの確保
6.ヤギを保定するための結び方
第4章 アイガモを放飼する
1.はじめに
2.アイガモの種類と特性
3. 草取りへの適性
4.放飼・飼育の方法
5.水田放飼に向くアイガモとは?
第5章 ガチョウを放飼する
1.はじめに
2.ガチョウの種類と特性
3.草刈りへの適性
4. 飼育・放飼の方法
第6章 草刈り動物の繁殖方法
1.命のつながり
2.ヤギの交配
3.アイガモの人工孵化
4.ガチョウの自然孵化と人工孵化
第7章 草刈り動物の健康管理
1.はじめに
2.ヤギ 寄生虫に注意
3.アイガモ 清潔な飲み水を確保
4.ガチョウ ミネラル不足に注意
第8章 家畜の脱走と野生動物の侵入を防ぐ
1.脱走・侵入の防止は表裏一体
2.家畜の特性に応じた対策のポイント
3.設備の使い方
第9章 ほかにもいる草刈り動物(ニワトリ、コールダック、ブタ)
1.草刈り適性をみつけだす
2.ニワトリで庭先除草
3.コールダックで水田除草
4.ブタの休耕地・林地への放牧
第10章 卵・乳・肉、そして糞 を利用する
1.家畜の恵み
2.食べて利用する
3.糞を利用する
コラム 大型の肉用アイガモ「薩摩黒鴨」
第11章 草刈り動物が開く未来の畜産
1.「小さな畜産」の潜在力
2.ミャンマーでの体験から
3.小さな畜産は潜在力大
4.水田を畜産の基盤に
5.身近な資源を活かしてこそ
6.おわりに
付録
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本書内のコラム〈アニマルウェルフェアとは?〉でも触れられていますが、本書が紹介している草刈り動物の放牧や放飼は、アニマルウェルフェアを満たす飼い方の1つと言えます。
アニマルウェルフェアで掲げられる理念
5つの自由
1.飢えと渇きからの自由
2.不快からの自由
3.痛み・傷害・疾病からの自由
4.正常行動を発現する自由
5.恐怖と苦悩からの自由
(p.21より抜粋)
出版社紹介文より
この本では、家畜の食性・行動特性、「適材適所」の放牧・放飼のやり方、脱走の防止と超獣害対策、繁殖のやり方、日常の世話や健康管理の留意点、卵・肉・糞の利用などをわかりやすく解説する。このほかにニワトリ、コールダック、ブタの放飼・放牧も収録。