すでにその前年に、彼女の頭の中では本書の構想がほぼできあがっていた。つまり、八章からなる本で、コロンブス以前の最初期から(略)、現代までのチョコレートの歴史を順にたどるというものだ。ソフィーは「源まで遡る」点にかけては実に几帳面で、チョコレートに関する記述が載っていそうな文献を求めてアメリカやヨーロッパ各地の図書館で何百時間も過ごし、また膨大な時間をかけて私の専門である中央アメリカ関係の資料を漁った。(略)
ソフィーは正真正銘の科学者の血筋を引いていた。彼女の父は著名なロシア系アメリカ人の遺伝学者、シオドシアス・ドブジャンスキーであり、彼女自身は人類学の博士号を持っていた。そういうわけで、彼女は自分の研究に科学の厳密さを持ち込み、しっかりしたデータの裏付けがないかぎり、どんなものも事実として提示すべきではないと主張していた。(本書あとがきより)
目次
第1章 神々の食物の木
第2章 カカオの誕生 オルメカ=マヤ時代
第3章 アステカ族 五番目の太陽の民
第4章 出会いと変容
第5章 チョコレートのヨーロッパ征服
第6章 カカオ産地の変遷
第7章 理性と狂気の時代のチョコレート
第8章 大衆のためのチョコレート
ソフィー・D・コウ(著/文)
人類学者、食物史研究家。ハーヴァード大学で博士号。「料理の話」誌に食物・料理の論文を数多く寄稿。著書『アメリカで最初の料理』は世界的に賞賛を博した。1994年没。
マイケル・D・コウ(著/文)
イェール大学の人類学名誉教授。ハーヴァード大学で博士号。アメリカ科学アカデミー会員。メソアメリカ研究の功績でハーヴァード大学から「プロスクーリャコフ賞」受賞。著書に『マヤ文字の解読』『メキシコ』など。
樋口 幸子ヒグチ(翻訳)
発行:河出書房新社
文庫判
縦149mm 横105mm 厚さ15mm
重さ 200g 384ページ
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