見てのとおり、この庭は思ったよりも野生の庭だ。ぼくはこのやりかたを強くおすすめする。芝生を捨てて、棘のあるセイヨウイラクサや道端の草花をとり入れよう。たとえば、ブルーべルやナデシコ、オルキス・マスクラ、キンポウゲの群生——こうした繊細な見た目の花を(とはいえ、この辺りを歩き回ってもそんな植物は見かけない。7月はひどくて、ただフクシアの砂漠が広がっているだけだ)。この本を読んだ人は庭の片隅でこの野生を試してみてほしい。きっと幸せになるだろう。(p.105より)
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デレク・ジャーマンの終の住処となった
〈プロスペクト・コテージ〉。その庭の写真と随筆と詩に触れているうちに、なんだか自分が庭に招かれたような近しさを感じる静かで優しい本です。復刊を長い間望まれていた名著ですが、花咲く美しい四月に、デレク・ジャーマンの没後30年を記念してついに復刊。
新訳は山内朋樹氏。美学者、庭師であり、『庭のかたちが生まれるとき』(フィルムアート社、2023年)の著者であり、訳書はジル・クレマン『動いている庭』(みすず書房、2015年)など。
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■クリックポスト185円より発送可能です
出版社より
不朽の名作、約30年ぶり待望の新訳復刊!
不朽の名作『Derek Jarman's Garden』が、製版のデジタルリマスターにより、約30年ぶり待望の新訳復刊!〈没後30年記念出版〉
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映像作家デレク・ジャーマンの
詩的でクィアな庭づくり
〈庭の生と死が、いつしか
「ぼく」の生と死を映し出す——〉
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1994年、AIDSでこの世を去った
映像作家のデレク・ジャーマン。
彼は晩年、イギリス南東部の最果ての岬、
原子力発電所にほど近いダンジネスに移り住む。
死の直前まで慈しみ育て続けた
プロスペクト・コテージの庭は、
いつしか彼の生と死を映し出し——。
写真家ハワード・スーリーの
美しい写真とともに綴られる、
ジャーマンの穏やかな日々と
秘められた激情。
庭や植物、友人たちや恋人たち、
自身の病と死について——
生前最後のエッセイを、
美学者であり庭師でもある訳者によって、
ついに新訳復刊!
※植物リスト付
著・文 デレク・ジャーマン
写真 ハワード・スーリー
翻訳 山内 朋樹
発行 創元社
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