植物学者であり、英国王立園芸協会主催「RHSボタニカル・アート・ショー」にて、韓国人初のゴールドメダルと最高展示賞を受賞した作家初の邦訳
"絵を描く植物学者”がひょんなことから始めた植物相談所には、悩みのタネを抱えた人々が訪れます。子どもから大人まで、性別も問いません。植物についてはもちろん、学業、進路、研究生活、仕事、病、環境問題など、流れに任せて色々なことを話します。
植物相談所のことをよく知らない人は、植物について何をそんなに相談することがあるのか、不思議に思うようです。植物相談所は植物の知識だけでなく、植物に関することなら何でも話し合える場でした。1時間も話していると、相談者とかなり親しくなれます。そして人生の話、生活の話、他愛もない冗談など、思わぬ方向へと対話が流れていきます。私たちは流れる対話のなかで、知識を分かち合い、疑問に対する答えを探していきました。相談者は植物について知り、私は多様な相談者を通じて人生の授業を受けているようでした。
本書は、そこで行なわれた実際の対話を取り上げ、美しすぎる絵とともに綴った、ハートフルなフルカラーエッセイ集です。
目次はじめに 植物と話したいあなたへの招待状
第1部 身近な緑から見つけるまばゆい喜び
あなたが愛する植物はどこから来たの?
世界から見捨てられたと思いました
雑草の役割について考えたことはありますか?
地獄で会いましょう
愛しているなら、愛を減らしましょう
「このままでいいのかな?」植物がくれた答え
第2部 心が寒いときに行きたい場所
「上手?」と聞くよりも、「楽しい?」と聞こう
諦めた夢が私を探している
植物へのロマンを取り払ったら見えるもの
植物図鑑にものっていない神秘的な秘密
孤独なチビっ子植物マニア
多様だから深くなるもの
樹齢数百年のご神木から学ぶこと
第3部 明日を準備する植物が教えてくれたこと
冬のあいだに準備して咲く花のように
なんちゃって菜食主義者
なるべく所有しないという愛情表現
本当に育てても大丈夫ですか?
植物は好きだけど、登山は嫌いな植物学者
古木に対する礼儀
第4部 大切な瞬間を守ってくれる話
植物が好きになり始めた、あなたに教えてあげたい話
一事に精通した専門家になるべきなのか?
植物に国境はない
歩く植物図鑑
植物が死ぬと、秘密の友達が消えたみたいだから
偉大になる必要はない
悩めるコケ研究者
私たちの温かい植物相談所の話
死んだ魚の赤ちゃんを埋めたら芽が出たよ!
この豆のさやをちぎると、何が出てくるかな?
昨日まで見えなかったものが、明日からは見えるでしょう
植物には長所しかないみたいですね
子どもの頃から知っていたらよかったのに
花を育てて大儲けした女の子
家を追われた植物たちへの哀悼
私は書物のなかに植物が登場すると、その描かれ方に注意を払うようにしている。人間が植物に対してどんな考えや偏見を持っているかがわかるからだ。一般的に、植物は人間に対して寛大で、受動的な存在と考えられているようだ。しかし植物を研究すると、植物という存在が違って見えてくる。植物に対するロマンティックな視線を、少し取り払ってみてはどうだろうか。自然への漠然とした偏見やイメージのせいで、無意識に「グリーンウォッシング」をしてしまうかもしれないからだ。本書p.94より
著者プロフィール
シン ヘウ
大学で生物学を学び、植物分類学で博士号取得。米スミソニアン環境研究センター(SERC)研究員として勤務している。植物の形態学的分類や系統進化といった伝統的研究に始まり、植物DNAバーコーディングや植物ゲノム研究などの最新研究に取り組んでおり、植物生態学分野にも研究のフィールドを広げつつある新進研究者である。
英国王立園芸協会主催「RHSボタニカル・アート・ショー」に2013、14、18、22年に出品してすべてゴールドメダルを受賞し、最高展示賞トロフィーと審査委員特別トロフィーを授与された。英国王立園芸協会、米国カーネギーメロン大学、韓国環境省国立生物資源館などに、多くの絵画がコレクションとして選定された。
海外の植物園、自然史博物館、大学、研究所などと活発に交流し、韓国内にあまり知られていない生物イラストの発展に尽力している。植物分類学と生物イラスト分野を融合させた韓国内外の展示、植物相談所、講演、児童教育など、多彩な活動を繰り広げている。
著書に『植物学者のノート』。本書『となりの植物相談所』は初のエッセイ集である。
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■翻訳 米津 篤八 (ヨネヅ トクヤ)
■発行 柏書房
■サイズ 四六変型判
■仕様 ソフトカバー
■ページ 288ページ
■送料210円より発送可能です
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