出版社より
女の子は、朝もやが残るころにカゴを持って森へと出かけていきます。まだ目覚めたばかりの森。クモの巣には宝石のような朝露が光り、鳥たちは遠慮がちにおしゃべりをはじめ、やがてリスたちも枝の上に姿を見せます。
目の前にある森は、夜になるといったいどんな様子をしているのでしょう?鳥たちはどこで眠りについて、リスたちの赤いしっぽはどんな色に見えるのでしょう?
いつものベリーを摘むお気に入りの場所で、女の子は目をつぶって夜の森のことを想像しはじめます。咲いているはずの花や、空の上の方に見える月、飛んでいるものたちや、足音を忍ばせて歩くものたちのことを。
まだ今は、自分の周りの小さな世界のことしか見ることができないけれど、女の子はまるで森と共鳴しているように、静かで優しい夜の森をありありと思い浮かべることができるのでした。
みずみずしい朝の森と、密やかな夜の森が絵本の中に広がります。
著者プロフィール
出久根 育(でくね いく)
1969年東京都生まれ。武蔵野美術大学卒業。『あめふらし』で2003年BIB(ブラチスラバ世界絵本原画展)グランプリ、『マーシャと白い鳥』で2006年日本絵本賞大賞を受賞。絵本に『十二の月たち』『わたしのおにんぎょうさん』『おふろ』『もりのおとぶくろ』『ペンキや』『ワニ』『こどもべやのよる』など。エッセイ集に『チェコの十二ヶ月―おとぎの国に暮らす―』など。2022年、チェコの西ボヘミア大学・ラジスラフ・ストナル・デザイン・芸術学部シンポジウムにて、イジー・トルンカ賞受賞。2002年よりチェコ在住。
■文・絵 出久根 育
■発行 偕成社
■ページ 32ページ
■サイズ A4変形
■発売日 2025年4月