これらはすべて、本当にあった実話である。
雪女、ザシキワラシ、天狗、河童、オクナイサマーー遠野の郷に伝わるさまざまな民間信仰や伝承を収めた『遠野物語』。遠野地方出身の佐々木喜善が語り、柳田国男が筆記し、現地での調査を経て編纂する形で出版された。
日本人の死生観や自然観が凝縮され、「日本民俗学の出発点になった」とも称される作品を大胆コミカライズ。「オシラサマ」「河童」「狐」「御犬」といった神や妖怪・動物たちの物語を四篇結び直し、現代に蘇らせる。
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「馬と花冠」ーーオシラサマ
その昔、ある娘が馬と恋に落ちた。その恋の行方は……?
東北地方に古くから伝わるオシラサマ信仰。オシラサマは養蚕の神、狩りの神、女性の病気の神、よいことやわるいことを知らせてくれる神などとして崇められている。その由来の物語。
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「河童の子」ーー河童
ある村の娘が河童の子を生んだ。河童の子の運命は?
今日でも誕生したばかりの赤ちゃんに関する悲しいニュースが後を絶たない。子どもの命をどう考えるかは、最も重要な課題である。現代にまで続く、『遠野物語』が描き出す人間社会の姿。
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「狐は夢」ーー狐
船越にとても仲の良い夫婦がいた。夫の漁師が吉里吉里へ出かけたが、その帰りが遅くて妻は心配になり……。
その昔、狐は人間に化けて人を騙すと信じられていた。また、思いが募るとすぐに浮遊してしまう魂の「軽やかさ」を描いた、二重に怪しい物語。
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「おおかみがいた」ーー御犬
『遠野物語』が発刊された明治末期には、ニホンオオカミはすでに絶滅していたが、遠野あたりでは御犬と呼んだ狼の話が伝わった。御犬の経立は年を取った狼のことで、特に恐れられた。
なぜ、御犬は滅びることになったのか。人間と自然の関係が失われ始めた頃の物語。
(以上、出版社より)
【インタビュー】『遠野物語』刊行記念インタビュー 鯨庭【お化け友の会通信 from 怪と幽】(KADOKAWA文芸「カドブン」note出張所より)
原作者プロフィール
柳田國男 (1875年7月31日 〜 1962年8月8日)
日本民俗学の創始者。明治33(1900)年東京帝大法科大学を卒業後、農商務省に入省。法制局参事官等を経て、大正3(1914)年貴族院書記官長に就任、8年に退官。翌年朝日新聞社に入社し、昭和5(1930)年まで論説を担当する。明治41(1908)年より民俗学の研究を始め、43(1910)年には日本民俗学の嚆矢となる『遠野物語』を著した。昭和10年代には民俗学確立のために『民間伝承論』(1934)等をまとめ、戦中、戦後においても民俗学の研究を続けた。百冊を超える主著を含め、その膨大な業績は『定本柳田国男集』に収載されている。昭和26(1951)年文化勲章受章。(国立国会図書館websiteより)
あんとす堂's Voice
人間や動物や植物、山や石や川...それぞれの境界が混じり合う日常。この魔法書店に訪れてくれる方々はそんな日常を懐かしさを感じたり、リアリティや親しみを感じたりする方が多いかもしれません。ある日、試し読み冊子に掲載されていた「狐は夢」を読んだ瞬間、この本を魔法書店に仕入れなきゃ!と高揚した気持ちになって手配した次第です。
発売 2024年9月
仕様 A5判/216ページ
送料210円より発送可能です。