魔法と驚きに満ちた世界へ子どもたちを案内
ニュージーランドの児童文学作家、マーガレット・マーヒーのお話集。魔法と驚きに満ちた世界へ子どもたちを案内し、夢と願いを存分に満たしてくれる不思議なお話を、石井桃子さんの訳でお届けします。(出版社より)
目次
たこあげ大会
葉っぱの魔法
遊園地
魔法使いのチョコレート・ケーキ
家のなかにぼくひとり
メリー・ゴウ・ラウンド
鳥の子
ミドリノハリ
幽霊をさがす
ニュージーランドのクリスマス
マーガレット・マーヒー 作
シャーリー・ヒューズ 画
石井 桃子 訳
発行 福音館書店
仕様 22×16cm 184ページ
初版 1984年6月
送料210円より発送可能です
あんとす堂's Voice
小学生4年生のときに出会った、わたしにとってのはじめての魔法本はこの本でした。教室の片隅にある学級文庫の本棚の中で一番ひっそりしていて誰の手にも取られていないような雰囲気を醸し出していたこの本にあえて手を伸ばしたときのことを今でもよく覚えています。以降、こうした出会い方はわたしにとって運命を変えるような本と出会うための定石となりました。
町の最後の街角に、ひとりのおばあさんがこしかけていました。わきには麦わらであんだ、かごがおいてありました。おばあさんは、前をぞろぞろ、皆にむかって流れていく子どもたちを見ていました。でも、そのおばあさんに気がついた子は、ジョーンのほかにはいませんでした。ほかの子どもたちは、赤と黄色の葉っぱでできた、まだらのマントを着た秋風が、じぶんたちの前を走っていくので、夢中でそのあとを追いかけていってしまったのです。だから、おばあさんのかごに、「宝さがし。夢と願い」と書いてあったのを見たのも、ジョーンだけでした。
「たこあげ大会」より
「そりゃ、そうだ。だけど、わたしゃ、さびしいところへしか、いかないんだ。
さもなければ、みんなが、わたしの前をいそいで通っていってしまうようなところだね」おばあさんはいいました。
「たこあげ大会」より
大きな本屋で本を探すとき、散歩の途中で素敵な路地を見つけるとき、自分がお店を開いているときなど、「たこあげ大会」というお話に出てくる不思議なおばあさんのこの言葉にかなり影響を受けていると思います。