街を歩き、立ち止まる。
いつかなくなってしまうものを、
ほんの一瞬でも強く
心に焼きつけるために。
本書あとがきより
本作をお手に取っていただきありがとうごさいました。
「僕のちっぽけな人生を誰にも渡さないんだ」はもともと、2021年に自費出版で作つた本でした。
2019年-2020年の間に描いた絵日記のようなもので、忘れたくないな、うつくしいなと思った瞬間を描き残していました。
当時は自分のことで精一杯でしたので、自分が迷子になった時、この本を自分のシェルターにしたいと思って作りました。
2021年に入り、だんだんと余裕ができてきで、社会のことや自分と関係があるトピックをより深く調べるようになりました。
すると、「なくなっていくもの」には、受け入れるべきものと、受け入れてはいけないものがあることに気付きました。
本当にどうしょうもないもの、たとえば時の流れによる加齢や老朽化、愛する動物や植物がいずれいなくなってしまうこと、などはどうすることもできません。
でも、みんなが動けば残せるかもしれないもの、なのに理不尽に消されてしまうものが、この世にはたくさんあるのだということがわかってきました。それは、美しい海であったり、残るはずだったお店だったり、笑顔で過ごせるはずだった命だったりします。
「なくなっていくもの」には、決して諦めてはいけないものもあるのです。
「なくなっていくもの」をどうすればなくさないでいられるのか、そのためには自分には何ができるのか、を考えるようになりました。
自分個人がどう思われてもかまわないので、2022年を経験したものとしてできることをやっていこうと思います。
自分のペースで、今まで通り毎日散歩して良きものに癒されながら、できることもしていこうと思いました。
2022年10月21日 中村一般
2021年、気鋭のイラストレーター/マンガ家の中村一般が、2019年〜2020年に描いた日記マンガやイラストから選りすぐりをまとめた同人誌を自費出版。その後完売・増刷未定となっていました。その幻の作品が、2022年視点の描き下ろしマンガを加えて甦ります。
2019年から2020年にかけてという、世界中が未知のウイルスの脅威に怯えていた不安定な日々の中で、著者が生活の中で出会い、確かな眼差しで書き残した「ささやかな景色」の数々がオリジナルに忠実なフルカラーで再現されています。これからさらに表現の幅を広げて活躍していく著者の原点として、記憶に留められるであろう鮮やかな初期作品集です。
試し読みページ
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著者プロフィール
中村一般(なかむら いっぱん)
1995年東京出まれ。主に書籍の装画、漫画を描く。趣味は散歩と読書。著書に『ゆうれい犬と街散歩』(トゥーヴァージンズ)がある。
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発売 2022年12月
仕様 132ページ フルカラー ソフトカバー
発行 シカク出版
送料210円より発送可能です