二十二歳から五年間にわたるビーグル号の探検のときからダーウィンは植物に魅せられ、研究のために膨大な量を採集した。いや、それよりずっと以前、六歳の肖像画のチャールズの手には花の植木鉢が乗っている。地質学者ライエル、世界的植物学者ジョゼフ・フッカー、エイサ・グレイを親友とし、心やさしきエマ夫人とたくさんの子どもたちとすごした博物学者の生涯が、植物研究の側面から色とりどりに描き出される。(本書より)

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『起源』の出版後ダーウィンは植物の本を七冊書き、植物がどのように生き、育ち、ライバルをだしぬき、生きのびて次世代をくりかえすかを説明して、自分の自然淘汰説を拡大発展させ続けた。だから、彼の孫娘の一人にいわせると、彼は「裏口から植物学に入った」のだという。だがダーウィンにとって植物学はただ植物標本を採集して乾かし、名をつける作業ではなかった。彼を魅了したのは、人間と同様に両親から生まれ、光と湿気と栄養をもとめ、行く手の障害をのりこえる植物の姿だった。ダーウィンは「なぜ？」、「どうして？」と問う男だった。(本書より)


ミア・アレン・著
工作舎
初版発行日：1997-01-20
Ａ５判 390頁

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