川岸富士男さんの絵を見ると、あの幻のように美しい雑誌『銀花』を懐かしく思い出して嬉しくなる方も多いのではないでしょうか。
正岡子規『草花帖』、木下杢太郎『百花譜』、福永武彦『玩草亭 百花譜』(上・中・下)に憧れて、手漉きの和紙の和綴じ本に草花たちを描き、季刊雑誌『銀花』に憧れて、発行人兼編集人兼執筆者兼画家になりきって手描き本『季刊翠花』の制作を楽しんだという川岸富士男さんの、二十五歳から六十五歳の今日に至るまでの作品が収められています。すべてフルカラーで見応えがあります。
更の和紙で折り本を作り、罫を引き、魚尾とタイトルを描く。それから、折り本一冊に、十種の草花を描き上げる。どの工程もやり直しがきかない。失敗が許されないところが制作の醍醐味である。(p.34)
「すごい人が今、銀花コーナーに作品を持って来ているんですけど......」(p.43)
当時、新宿にあった「銀花コーナー」で作品を見せたとき、展示支配人の方は驚いてその場で「銀花」編集部に電話をかけたのだそうです。この場面、支配人の方の驚きの様子がとても目に浮かびます。
ページの片隅にそっと添えられた川岸富士男さんの軌跡のお話や、あとがきの「好きだなあ、すばらしいなあと思い続けていると、ある日ある時、そのものが近づいてきてくれる」という思いに基づいた体験のお話も好きです。
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