地球の美しさをよく観察し、深く思いをめぐらせていくとき、いつまでも尽きることがない力が、湧き出してきます。鳥の渡りや潮の満ち引き、春を待つ蕾の姿には、それ自体の美しさだけでなく、象徴的(シンボリック)な美しさがあります。
(レイチェル・カーソン「センス・オブ・ワンダー」より)
出版社より
先駆的に化学物質による環境汚染を訴え、今に続く環境学の嚆矢ともなった『沈黙の春』の著者であり科学者であるレイチェル・カーソン。そのカーソンの最後に遺した未完の作品が『センス・オブ・ワンダー』だ。
本書は独立研究者・森田真生による新訳と、「その続き」として森田が描く「僕たちの『センス・オブ・ワンダー』」で構成する。カーソンが残した問いかけに応答しつつ、70年後の今を生きる森田の問題意識に基づいた、新しい読み解き、新しい人間像の模索を行う。
これから生まれてくるすべての子どもたちが、「きてよかったね」と心から思える、そういう世界を作り出していくこと。僕たちが何度でも新たに、それぞれの「センス・オブ・ワンダー」を生き、書き継いでいこうとしているのもまた、このためなのである。
(森田真生「結 僕たちの「センス・オブ・ワンダー」へ」より)
著者プロフィール
レイチェル・カーソン:1907-64。
アメリカの生物学者。研究の傍ら、大ベストセラー作家に。1962年公害問題を『沈黙の春』で厳しく告発、環境問題の嚆矢となる。『センス・オブ・ワンダー』は1956年に雑誌発表、未完のままに死後単行本化された。ほか著書に『潮風の下で』『われらをめぐる海』『海辺』などがある。
森田 真生(もりた・まさお):
1985年生まれ。独立研究者。京都を拠点に研究・執筆の傍ら、ライブ活動を行っている。著書に『数学する身体』で小林秀雄賞受賞、『計算する生命』で第10回 河合隼雄学芸賞 受賞、ほかに『偶然の散歩』『僕たちはどう生きるのか』『数学の贈り物』『アリになった数学者』『数学する人生』などがある。
レイチェル・カーソン(本文)
森田 真生(モリタ マサオ)(本文・訳)
西村 ツチカ(絵)
発行:筑摩書房
四六判 184ページ
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